摂取する食物繊維の種類によって腸炎が抑えられる可能性をマウス実験で発見

ニュース2022/10/28

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飲み物に溶けるタイプの食物繊維が腸内細菌叢や大腸炎に与える影響をマウスで比較

富山県立大学の研究グループは、低粘性水溶性食物繊維の腸内微小環境に対する作用を調べた結果、制御性T細胞を誘導し大腸炎の発症を抑える作用を持つ食物繊維を同定したことを発表しました。

近年、食生活の欧米化により食物繊維の摂取量が低下し、それに伴い、炎症性腸疾患(IBD)やアレルギーなど、免疫異常が原因となる疾患に罹患する人が年々増加しています。

食物繊維は腸内の善玉菌を増やしたり、また、腸内細菌により代謝産物に変換されることでヒトの免疫系を調節したりする機能があるとして注目されています。最近では不足する食物繊維を補うために、食物繊維を含む機能性食品が広く市販されるようになっていますが、どの食物繊維が免疫疾患の予防に関連しているのかは不明でした。

そこで研究グループは今回、飲み物に溶かして手軽に摂取可能な「低粘性水溶性食物繊維」に着目し、4種類の食物繊維がマウスの腸内細菌叢・腸管免疫系・大腸の炎症に与える影響を比較しました。

低粘性水溶性食物繊維が酪酸などの「短鎖脂肪酸」を増加させると判明

マウスに4種類の低粘性水溶性食物繊維(アルファシクロデキストリン、イヌリン、ポリデキストロース、アルギン酸ナトリウム)を飲水投与し、腸内細菌の種類を詳細に検討した結果、どれを与えたマウスも悪玉菌の「ウェルシュ菌」が激減し、善玉菌の「アッカーマンシア菌」や短鎖脂肪酸を産生する「バクテロイデス菌」が増加していました。

さらに、低粘性水溶性食物繊維を摂取したマウスで「短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)」を産生する腸内細菌が増加していると予測されたため、実際に糞便中の短鎖脂肪酸量を測定。その結果、いずれの食物繊維も短鎖脂肪酸の産生量を増加させていることが明らかになりました。

一方、増加する短鎖脂肪酸の種類や量は、摂取する低粘性水溶性食物繊維の種類により異なっており、酪酸の産生量は「アルファシクロデキストリン>イヌリン>ポリデキストロース」の順に多く、アルギン酸ナトリウムでは増加がみられなかったということです。

低粘性水溶性食物繊維により、炎症を抑える「制御性T細胞」が誘導される可能性

研究グループは過去に、腸管で増加する酪酸が腸炎やアレルギーなどの異常な免疫反応を抑制する「制御性T細胞」を誘導することを報告していました。実際に低粘性水溶性食物繊維を与えたマウスでは、酪酸産生量の増加と相関して大腸の制御性T細胞が誘導されることがわかりました。

そこで、大腸炎モデルマウスを作成し、低粘性水溶性食物繊維が疾患の発症を抑えるか実験した結果、制御性T細胞を強く誘導する「アルファシクロデキストリン」が、大腸炎を強く抑制することがわかりました。アルファシクロデキストリンとイヌリン抑制作用をさらに詳細に比較したところ、アルファシクロデキストリンのほうがイヌリン腸管の炎症を誘導する17型ヘルパーT細胞の機能を抑える作用が強いことがわかりました。

以上のことから、摂取する食物繊維の種類により、免疫系に与える作用が大きく異なることが明らかとなりました。

食物繊維を用いたIBD予防の新たな構築につながることに期待

現在、IBDの再発防止のための食事療法として、寛解期における食物積極的な摂取が推奨されています。一方、摂取すべき食物繊維の種類までは詳細にわかっていないのが現状です。

「本研究成果により、食物繊維の種類により免疫機能に与える影響に違いがあることが明らかになり、食物繊維を用いたIBD予防の新たな構築につながることが期待される」と、研究グループは述べています。

(IBDプラス編集部)

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