【JSIBD市民公開講座】潰瘍性大腸炎に対する内科治療(札幌厚生病院 IBDセンター 本谷 聡先生)

ニュース2023/1/25

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昨今の潰瘍性大腸炎治療は、昔では考えられないほど治療選択肢が増え、個人のニーズに合った治療を受けることが可能になってきました。だからこそ、患者さん自身が治療のことについて学び、メリット・デメリットを知った上で、医師と二人三脚で治療を進めていく必要があります。「口頭でちょっと説明されたくらいじゃわからない」というみなさんのために、札幌厚生病院 IBDセンターの本谷 聡先生が、わかりやすく丁寧に解説してくださいました。

ステロイド治療が受けられない患者さんのための新たな治療選択肢が登場

本谷先生は潰瘍性大腸炎の基本薬となるメサラジン製剤をきちんと飲むことの重要性を述べた上で、悪化した場合もメサラジン製剤の種類を変えることで効果が得られる場合があると語りました。今はメサラジン製剤の量を増やすことで粘膜治癒を達成できる患者さんが増えたとのことで、「寛解維持・大腸がん抑制効果もあるので、「メサラジン不耐(メサラジン製剤のアレルギー)など使用できないという人以外は、飲み続けて欲しい」と、念押ししました。

メサラジン不耐であることが判明した場合は、ステロイドによる寛解導入治療が必要となります。ステロイドは原則、寛解維持目的で長期使用はしないという決まりがありますが、患者さんによっては半年以上継続することがやむを得ないケースもあるとのこと。このような場合は、骨粗しょう症の予防薬を一緒に使うそうです。

どうしてもステロイド治療が受け入れられない患者さんや、ステロイドが副作用で望ましくない患者さんに対しては、新たに「カロテグラスト(カログラ錠)」が登場しました。これは、炎症を引き起こす原因となるリンパ球を大腸に到達させないようにする内服薬で、「経口インテグリン阻害薬」と呼ばれます。メサラジン製剤で効果不十分だった場合の次の選択肢として日本で開発され、寛解導入効果も証明されているそうです。

一方で、カログラ錠は1度に8錠を1日3回(24錠)服用しなければならないため、その点を負担に感じる人がいるかもしれないとも意見されました。さらに、同薬は症状が良くなったら8週間を目処に一旦休薬し、その後、再度悪化した場合には、8週間の中休みがあればまた使うことが可能ということも付け加えました。

「難治性潰瘍性大腸炎」の治療選択肢とは?それぞれのメリット・デメリット

これらの治療が上手く行かない場合は難治性の潰瘍性大腸炎(ステロイド依存性やステロイド抵抗性)と判断し、次の治療に進みます。その際、最初の選択肢となるのが「チオプリン製剤(免疫調節薬)」です。脱毛、白血球の減少、高熱などの強い副作用が出る可能性を知るために「NUDT15遺伝子多型検査」が事前に行えるようになりました。しかし、異常がないという結果が出た場合でも、吐き気や肝機能障害のリスクはあるので、最初は半錠くらいからスタートして徐々に増やしていくことが望ましいと述べました。

これ以外の選択肢として、白血球吸着除去療法(GMA)も紹介されました。副作用が少なく安全性が高い反面、治療がやや大がかりなのが難点とのことですが、コロナ禍でまた見直されてきているそうです。

抗TNFα抗体製剤は、クローン病に比べると有効性が低く寛解維持も不安定と言われていますが、最近ではアダリムマブで効果が不安定な人に対して用量増加が承認されました。しかし、本谷先生いわく「難治性潰瘍性大腸炎においては、TNFαだけを制御していてもあまり意味がない」とのこと。現在は、α4β7インテグリンを制御する「ベドリズマブ」も登場しています。同剤は腸管特異的に作用するため安全性が高く、寛解維持率も高いそうです。さらに、高齢者、肝炎ウイルスキャリア、メサラジンとチオプリン系免疫調節薬不耐の人にも使用できるという大きなメリットがある一方、活動性が高い患者さんでは寛解導入できないという問題があるので、活動性を考慮して医師と相談していくことが重要だと述べました。これとは別に、IL12/23を制御する「ウステキヌマブ」があります。同剤は、多くの薬剤に治療抵抗性でも有効性が高く、長期寛解維持も期待されているそうです。また、維持投与間隔が長く利便性も高いと語りました。

飲み薬の代表としては「JAK阻害薬(トファシチニブ/フィルゴチニブ/ウパダシチニブ)」をあげ、どれも高い抗炎症効果があるとしました。また、生物学的製剤で効果不十分だった人でも効果が出ることが多いそうです。しかし、心血管系リスクや血栓症リスクの高い高齢者は使用できません。また、多くの薬は妊娠中でも使用できますが、JAK阻害薬は新しい薬で安全性のデータに乏しいため、使用できないそうです。また、帯状疱疹のリスクが他の薬より高いというデメリットがあることも知っておいて欲しいと述べました。

最後に本谷先生は、全てのIBD患者さんに向けて「今は内視鏡検査だけでなく、便中カルプロテクチンや血液LRGなど手軽に悪化を予測する方法があるので、粘膜治癒に至ってからも定期的に検査を受けて欲しい。治療選択においては、主治医の先生から薬のメリット・デメリットの説明を受け、適切な治療を受けて欲しい」と語り、講演を締めくくりました。

(IBDプラス編集部)

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