世界規模でみるIBDの発症率と有病率、増えている地域は?
ニュース | 2017/12/6
人口ベースの観察研究を対象に調査
潰瘍性大腸炎(UC)やクローン病(CD)などの炎症性腸疾患(IBD)は、日本でも患者数が増加しています。香港中文大学の研究グループは、世界各国でのIBDの発症率・有病率を調査して分析。この30年における変化が明らかになりました。
調査は、1990年以降に発表された、CDまたはUCの発症率または有病率について記載のある、人口ベースの観察研究を対象に実施。元データを報告していない研究と16歳未満の小児期に限定した研究は除外しました。発症率に関する119の研究と、有病率に関する69の研究を分析し、コロプレス地図を作成。さらに、年平均変化率を割り出して経時的な推移も調べました。
新興国でのIBD発症率が増加
その結果、有病率が高かったのはヨーロッパや北アメリカでした。ノルウェーではUC患者が10万人あたり505人、ドイツではCD患者が同322人、米国ではUC患者が同286人、カナダではCD患者が同319人という有病率。北アメリカ、オセアニア、ヨーロッパの多くの国で、IBDの有病率は0.3%を超えていました。
また発症率については、調査対象のうち70~80%の研究で、北アメリカやヨーロッパでは「変動なし」または「減少」傾向にあると報告されていました。一方で、1990年以降、アフリカやアジア、南アメリカなど新興国での発症率が増加。ブラジルではCDの発症率が毎年11.1%、UCは14.9%のペースで、台湾でもCDが毎年4.0%、UCは4.8%のペースで増加していることが報告されていました。
研究グループはこれらの結果を受けて、IBDの予防につながる研究の必要性に加え、治療費が高額になることから、医療制度の整備も必要だとしています。
(IBDプラス編集部)
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