IBDなどの全身性炎症疾患に併発する「不安・うつ症状」を抑制する抗炎症薬を発見

ニュース2023/10/23

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うつ病は、IBDなどの「全身性炎症疾患」に併発することが多い

久留米大学、アリゾナ大学医科大学フェニックス校、旭川医科大学、関西医科大学の研究グループは、炎症性腸疾患(IBD)モデルにおける炎症と併発する不安・うつ様行動を抑制する抗炎症薬を発見したと発表しました。

うつ病は全身性炎症疾患に併発することが多く、炎症性サイトカインとキヌレニン経路がうつ病の病態に関与することが知られています。

キヌレニン経路はトリプトファンの代謝経路の一つで、摂取されたトリプトファンの大部分がここで代謝されています。また、この代謝産物は「免疫・神経系」に作用することが知られています。

2つの機序でIBDモデルマウスの全身炎症と不安・うつ症状を抑制

研究グループは今回、全身性炎症とうつ様症状を抑制する治療薬を探索しました。その結果、トリプトファンをキヌレニンに変換するTDO酵素の阻害薬「680C91」に、JAK/STATシグナル抑制を介して炎症性サイトカインの産生を阻害する「抗炎症薬」の働きがあることがわかりました。

680C91には、TDO阻害によってキヌレニン代謝産物の産生を抑制すると同時に、セロトニン産生を促進する可能性があるため、「JAK/STATシグナル抑制」と「TDO阻害」という2つの働きにより、全身炎症に併発する不安やうつ症状に対して治療効果を発揮すると考えられました。そこで実際にIBDモデルマウスで解析を行った結果、680C91が全身炎症に併発する不安やうつ症状に対して治療効果を発揮する可能性が示唆されたということです。

「JAK/STATシグナルを抑制する分子機構の解明により、IBDなどの全身性炎症疾患に併発する精神疾患の新規治療法の開発が期待される」と、研究グループは述べています。

(IBDプラス編集部)

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