潰瘍性大腸炎へのウステキヌマブ単回投与、プラセボ比で高い臨床的寛解など示す

ニュース2018/10/30

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従来療法や生物学的療法で効果を得られなかったUC患者が対象の臨床試験で

ベルギーに本社を置く製薬会社ヤンセン ファーマシューティカル カンパニーズ(以下、ヤンセン)は、潰瘍性大腸炎患者さんを対象とするウステキヌマブの臨床試験に関する新たなデータを発表しました。ウステキヌマブの単回静脈内投与が、従来療法や生物学的療法で十分な効果を得られなかった、または忍容性を示さなかった中等症~重症の潰瘍性大腸炎の成人患者さんに、臨床的寛解およびクリニカルレスポンスの導入をもたらすことを示したそうです。この結果は、米国消化器病学会(ACG)年次学術集会2018で発表されました。

UNIFI試験は、コルチコステロイドや免疫調節剤など従来療法もしくは既存の生物学的療法で十分な反応を得られなかった、または忍容性を示さなかった中等症から重症の潰瘍性大腸炎の成人患者さんに対し、ウステキヌマブを寛解導入投与および寛解維持投与する場合の安全性と有効性を評価した第3相試験です。寛解導入試験は、各参加者に対し8週間以上継続。寛解維持試験は、寛解導入試験でクリニカルレスポンスを達成した参加者を適格者とし、44週間継続しました。

寛解導入試験の主要評価項目は8週目の臨床的寛解。また、寛解維持試験の主要評価項目は、ウステキヌマブの単回静脈内投与によりクリニカルレスポンスを達成した患者さんを対象とした44週目の臨床的寛解です。寛解維持試験の完了後、適格な参加者に対して長期的な投与をさらに3年間実施する予定です。なお、試験参加者の約50%は、抗TNFとベドリズマブのいずれか、または両方の生物学的療法の効果が不十分とされ、17%は十分な反応を示さない、または忍容性を示さない患者さんでした。

クリニカルレスポンスや内視鏡的治癒率などの副次評価項目、QOLの改善も

寛解導入試験では、ウステキヌマブの単回静脈内投与の2つの投与群で、8週目で臨床的寛解に至った潰瘍性大腸炎患者さんの割合が、プラセボ群と比べ有意に高かったことが示されました。また、8週目のウステキヌマブ投与群は、プラセボ投与群と比べ、クリニカルレスポンスを示した患者さんの割合と、内視鏡的治癒率を含む主な副次評価項目に加え、健康関連QOLの改善も有意に高い結果でした。さらに、ウステキヌマブの両投与群において、IBD患者さんの疾患特異的QOL尺度(IBDQ)、IBD患者さんの健康関連QOL尺度に加え、C反応性タンパク質(CRP)、糞便中ラクトフェリン、糞便中カルプロテクチン等の炎症マーカーが統計的に有意に改善しました。

8週間を通じて報告された有害事象(AE)、重篤なAE、および感染症(重篤な感染症を含む)は、ウステキヌマブ投与群とプラセボ投与群で同様の割合でした。悪性腫瘍、日和見感染症、または結核は8週間を通じて報告されませんでした。8週目までに、肝硬変または門脈圧亢進症の既往歴がない約6mg/kg投与群の患者さん1例が、食道静脈瘤出血により死亡したことが報告されました。

ヤンセン・リサーチ&ディベロップメントの臨床開発部バイスプレジデントであるPhilippe Szapary氏は、「第3相UNIFI試験で得られたこれらの導入療法データは、潰瘍性大腸炎治療における今回の治療法の可能性を裏付けており、今後、潰瘍性大腸炎患者さんにとって効果的で安全な新たな治療選択につながる可能性があります」と述べています。

なお、今回示されたウステキヌマブの導入療法データは、11月22日に京都で開催される「第9回 日本炎症性腸疾患学会学術集会」においても発表される予定です。

(IBDプラス編集部)

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