なぜ乾癬とIBDは合併しやすいのか?「皮膚-腸相関」という概念で解明

ニュース2018/11/15

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乾癬の発症が腸内の免疫細胞の変化と腸内細菌叢の変化を引き起こす

慶應義塾大学医学部内科学(消化器)教室の金井隆典教授、筋野智久特任講師、清原裕貴助教らの研究グループは、乾癬の発症が腸内細菌叢を変化させ、腸炎が悪化しやすい腸内環境が形成される「皮膚-腸相関」の存在を、マウスによる実験で初めて明らかにしました。

乾癬と炎症性腸疾患は、それぞれ皮膚と消化管に慢性的な炎症が起こる自己免疫性疾患の一種で、いずれも国内における患者数は増加傾向にあります。両疾患は発症する臓器や疾患のメカニズムが異なりますが、片方に罹患していると他方を発症するリスクが上昇することが知られ、乾癬患者が炎症性腸疾患を発症するリスクは健常人の約 4 倍になると言われています。しかし、発症する臓器や疾患のメカニズムが異なるこれら2つの疾患がなぜ合併しやすくなるのかについては、これまで明らかにされていませんでした。また、両疾患患者の腸内細菌叢は健常人のものと構成が異なります。その一部は両疾患で類似することが知られていますが、皮膚と消化管の炎症がそれぞれ互いの臓器にどのような影響を与えるのかについては、わかっていませんでした。

乾癬患者さんのIBD発症の予防・新しい治療法の開発に期待

研究グループは、乾癬と腸炎のモデルマウスを用いて、乾癬の発症が消化管にどのような環境の変化をもたらすのか、そして消化管の環境の変化が腸炎の発症にどのような影響を与えるのかを解明。乾癬の発症が大腸粘膜に存在する免疫細胞の構成や機能に変化を起こし、腸内細菌の構成を変化させるということを明らかにしました。さらに、そのような腸内環境の変化によって大腸炎が悪化し、なかでも腸内細菌叢の変化が大腸炎の悪化に必須であることを実証しました。

この研究の結果から、乾癬の患者さんが炎症性腸疾患を合併しやすいこと、それらの疾患に共通した腸内細菌叢の変化が見られることの根底にあるメカニズムが、皮膚炎の存在によって消化管に炎症を惹起しやすい腸内環境が形成される「皮膚-腸相関」という概念が、初めて解明されました。同研究が今後の臨床研究を経て、乾癬に罹患する患者さんの炎症性腸疾患発症や、病態の進展を予防する新たな治療戦略の開発につながることが期待されます。

(IBDプラス編集部)

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