開発中のウパダシチニブ、潰瘍性大腸炎対象の第IIb相試験で良好な結果-アッヴィ
ニュース | 2018/11/8
主要評価項目の臨床的寛解およびすべての副次評価項目を達成
米アッヴィ社は10月22日、中等症または重症の活動性潰瘍性大腸炎の成人患者さんを対象に開発中の選択的JAK1阻害薬「ウパダシチニブ」の導入療法および維持療法を評価する、進行中の第IIb相/III相用量設定試験「U-ACHIEVE試験」において良好な結果が得られたことを、オーストリア・ウィーンで開催中の2018年欧州消化器病(UEG)週間で発表しました。
U-ACHIEVE試験では、主要評価項目である投与8週後の臨床的寛解(Adapted Mayoスコアによる評価)を達成した患者さんの割合がプラセボ群(0%)に比較して、ウパダシチニブ群(15mg群14%、30mg群14%、45mg群20%)で有意に上回っていることが示されました。また、ウパダシチニブ15mg群、30mg群および45mg群全体では、投与8週後に、内視鏡的改善、臨床的寛解(Full Mayoスコアによる評価)および臨床的奏功(Adapted Mayoスコアによる評価)を含む重要な副次評価項目も達成しました。なお、ウパダシチニブ7.5mg群では、主要評価項目は達成されませんでした。
また、同試験での安全性プロファイルは、すでに報告されているクローン病を対象とした第II相試験と一致しており、新たな安全性シグナルは検出されませんでした。重篤な有害事象の発生率は、プラセボ群での11%に対し、ウパダシチニブ7.5mg群、15mg群、30mg群および45mg群ではそれぞれ0%、4%、6%および5%でした。重篤な感染症の発症率は、プラセボ群の4%に対し、ウパダシチニブ7.5mg群、15mg群、30mg群および45mg群ではそれぞれ0%、2%、0%および4%でした。ウパダシチニブ45mg群の患者さんで帯状疱疹が1件、7.5mg群の患者さんで悪性腫瘍(悪性黒色腫)が1件報告されました。静脈血栓塞栓性事象、主要な心血管系有害事象および死亡は報告されませんでした。
アッヴィの免疫領域開発部門バイスプレジデントのマレク・ホンツァレンコ医学博士(M.D.)は、「今回の結果は、潰瘍性大腸炎を対象にウパダシチニブをさらに評価する第III相臨床試験の開始を支持するものであり、炎症性腸疾患とともに生きる方々に向けた治療の選択肢を開発していく、アッヴィの確固としたコミットメントを強く示すものです」と述べています。
患者の直接評価によるQOL改善も複数報告
今回のUEG週間では、患者報告アウトカム(患者による直接評価)においてウパダシチニブの影響を示したU-ACHIEVE試験の2種の解析データも発表されました。一方の解析結果では、ウパダシチニブを投与された患者さんにおいて、便意切迫、腹痛、直腸出血および排便回数を含む潰瘍性大腸炎の症状について、プラセボを上回る改善を示しました。この発表は、「Induction Therapy of Upadacitinib is Associated with Improved Symptoms in Bowel Urgency and Abdominal Pain for Patients with Ulcerative Colitis: Data from U-ACHIEVE(ウパダシチニブの導入療法と潰瘍性大腸炎患者における便意切迫および腹痛症状の改善との関連:U-ACHIEVE試験のデータ)」と題し、10月22日のポスターチャンプセッションで紹介されました。
もう一方の解析では、プラセボと比較して、ウパダシチニブ投与8週後に疾患特有な健康関連の生活の質、疲労、労働生産性および日常活動の遂行において臨床的な意味を持つ改善を示した患者さんが多く報告されました。この結果については、「Improved Patient-Reported Outcomes with Upadacitinib as an Induction Therapy for Patients with Ulcerative Colitis: Data from U-ACHIEVE(潰瘍性大腸炎患者への導入療法とするウパダシチニブの患者報告アウトカムの改善:U-ACHIEVE試験のデータ)」と題し、同日のポスターセッションIBD Iで発表されました。
(IBDプラス編集部)
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