過度な食事制限をしていませんか?IBDでも楽しく食べるコツ【JSIBD市民公開講座】
ニュース | 2019/3/6
「〇〇を食べてしまったから症状が出た」「あれもこれも食べられない…」などと思い悩んでいませんか?管理栄養士の花田輝代先生(福岡大学筑紫病院栄養部)は、「気を付けるのは大切ですが、過度な食事制限をしている患者さんも多くいらっしゃいます」と指摘しています。今回は、花田先生が登壇された平成30年度日本炎症性腸疾患学会の市民公開講座『知っておきたい食事のお話 ~おいしく食べたいIBD食~』の模様をお伝えします。
NG食品を自分で見つけよう
IBDでは、低脂肪で腸を刺激しない食事を摂るように指導されますが、過度な食事制限は、栄養不足や食べられないストレスによるQOL低下に繋がります。
それを防ぐために花田先生が勧めているのは、「症状と食事の記録」を付けること。自分に合う・合わない食品を見つけるのに役立つほか、食事以外のこと(睡眠不足や過労など)が体調に与える影響を、客観視できるようになるそうです。とはいえ、ある程度食事に気を使う必要はあります。腸管の安静を保つために、脂肪は30g/日以下(調理油は5~10g/日が目安)とし、摂取する脂肪はなるべく抗炎症作用のあるn-3系脂肪酸(魚油、えごま油、しそ油など)にしましょう。反対に、n-6系脂肪酸(大豆油、コーン油、サフラワー油など)は、炎症を引き起こしやすいと言われているのでなるべく避けるようにしましょう。花田先生のお勧めは「昔ながらの和食メニューを、1品でも取り入れる」こと。和食は洋食などに比べてヘルシーで、醤油、みそ、納豆などの発酵食品が腸内環境を整えてくれるそうです。
また、刺激物を控えることも重要です。極端に熱いものや冷たいもの、強い香辛料、炭酸飲料は避けましょう。また、暴飲暴食も腸管を刺激します。よく噛んで、ゆっくり食べることにより満腹感が得られ、食べ過ぎを予防できます。一度にまとめて食べず、何回かに分けて食べるようにしましょう。
食事で上手にストレス緩和&再燃予防
花田先生は、日々のストレス対策として、幸せホルモン「セロトニン」の材料となる食材も教えてくれました。セロトニンを体内で作り出すには、材料となるトリプトファンと、合成を助けるビタミンB群が必要です。トリプトファンは青魚(かつお、はまちなど)、レバー、大豆製品(豆腐など)、乳製品(ヨーグルトなど)に多く含まれています。また、ビタミンB群は、かつお、豆類、レバー、鶏肉、うなぎなどに含まれているそうです。
さらに、これらの食事にエレンタールなどの成分栄養剤を併用することで、再燃のリスクを下げられることがわかっています。
今日から始められるカンタン調理!
お腹に優しい食材を効率よくメニューに取り入れるため、できるだけ自炊に挑戦したいところですが、少々ハードルが高いと感じる方も多いと思います。そんな方のために、花田先生は「圧力調理バッグ」「オイルスプレー」「スチームオーブンレンジ」などを使った簡単調理法や、鶏肉の部位の選び方など、実用的な豆知識を教えてくださいました。
最後に、「リード プチ圧力調理バッグ」を使った「腸にやさしい簡単レシピ」をご自身が作ったという動画で紹介。どれも簡単でおいしそうなレシピばかりでした。レシピ動画は、近いうちに福岡大学筑紫病院のホームページに掲載予定とのことです。
(ライター:伝わるメディカル 田中留奈)
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