欧州医薬品庁が、活動期IBD患者の維持療法におけるベドリズマブ皮下注射製剤の剤形追加を承認
ニュース | 2019/4/4
皮下注射製剤の追加で、患者QOLの向上に寄与
武田薬品工業株式会社は4月1日、成人の中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病患者さんに対する維持療法として、生物学的製剤「ベドリズマブ」の皮下注射製剤の剤形追加を欧州医薬品庁(EMA)に申請し、受理されたことを発表しました。なお、ベドリズマブの皮下投与において、プレフィルドシリンジ製剤およびペン製剤、両方での提供を申請しているそうです。
ベドリズマブの「静注」製剤は、標準療法又は抗TNFα抗体による治療のいずれかに対し効果不十分、効果減弱がみられた、もしくは不耐性である中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病成人患者さんに対する治療薬として、現在60カ国以上の国で承認を取得しており、これまでに26万人年以上がこの薬の投与を受けています。なお、日本においては、クローン病成人患者さんに対する適応は、承認事項一部変更承認申請中です。
今回の申請は、ベドリズマブ皮下注射製剤の維持療法としての有効性および安全性を評価した臨床第3相試験である「VISIBLE 1試験」に基づいたものです。同試験は、治療開始時点(0週)および2週時点に非盲検下で、導入療法としてベドリズマブの静脈内投与を2回行った後、6週時点で臨床的改善が得られた中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎患者さん(成人216名)を対象に実施された試験です。さらに今回の申請パッケージには、クローン病患者さんを対象に実施中の、その他のVISIBLE試験から得られた中間データも含まれているそうです。
52週時点での臨床的寛解率は約45%
VISIBLE 1試験における主要評価項目において、52週時点で臨床的寛解が得られた患者さんの割合は、維持療法としてベドリズマブ皮下注射製剤108mgを2週間ごとに投与した群でプラセボ投与群が14.3%だったのに対し、ベドリズマブ皮下投与群は46.2%と、統計学的に有意に高い結果を示しました。また、ベドリズマブ静注製剤300mgを投与した参照群でも、52週時点で同様の臨床的寛解率(42.6%)を示しました。なお、52週時点における有害事象の発現率は、重篤な有害事象や感染症を含め、皮下注射製剤と静注製剤で同様の結果を示しました。注射部位反応は、ベドリズマブ皮下投与群の10.4%に発現しましたが、いずれも軽度で、投与中止に至った患者さんはいなかったそうです。
武田薬品は「ベドリズマブの皮下注射製剤が承認されることになれば、現在用いられている静脈内注射製剤と併せて、患者さんに幅広い選択肢を提供することが可能となり、患者さんの希望される投与方法やライフスタイルにあわせた治療方法を選ぶことが可能になります」と、述べています。
(IBDプラス編集部)
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