MRTF-A遺伝子が、動脈硬化とIBDの発症に関わっていることが判明

ニュース2019/6/14

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冠動脈疾患のリスクが高いとされるIBD

東京医科歯科大学の難治疾患研究所分子病態分野(木村彰方教授、安健博助教)らの研究グループは、マクロファージという免疫細胞で、MRTF-Aという因子が多く作られると、動脈硬化症が進行しやすくなることをつきとめました。

木村教授らは以前、網羅的マイクロサテライト関連解析という手法により、遺伝的にMRTF-Aを多く作るタイプの人は、そうでない人に比べ、「冠動脈疾患」のリスクが高いことを、明らかにしていました。

また、これとは別に、マクロファージだけでヒトMRTF-A が多く作られるように作製したマウス(MRTF-Atg/+マウス)が、IBDのような病態(大腸短縮、直腸脱、陰窩炎)を自然発症すること、DSS誘導性腸炎(DSSという物質を飲むことで起こすIBD様腸炎)に、飲むDSSの量が少なくてもなりやすいこと、腸管マクロファージの抗炎症機能が低下していることを報告していました。

実際にIBD患者さんは、冠動脈疾患のリスクが高いことが知られています。また、動脈硬化巣局所におけるマクロファージの増殖・生存機能が動脈硬化の病態形成に関与することも知られています。

そこで研究グループは、マクロファージでMRTF-Aが多く作られることが、どんな仕組みで動脈硬化症の病態形成に関わるのかを調べました。その結果、MRTF-Aが多く作られると、マクロファージは増殖しやすくなり、またアポトーシスと呼ばれる細胞死を起こしづらくなり、さらに細胞増殖にブレーキをかけるCDKIというタンパク質も作られづらくなるために、動脈硬化の悪化につながるということが、細胞およびマウス個体レベルでわかりました。

将来的には、動脈硬化とIBDに効く新薬が誕生する可能性も

今回の研究結果により、IBDで動脈硬化になりやすい人は、「MRTF-Aを多く作るタイプの遺伝型」の可能性があるということがわかりました。今後、なぜこの遺伝型が「MRTF-A をたくさん作ってしまうのかを突き止めれば、それを抑える薬の開発につながり、動脈硬化とIBDに効く新薬ができるかもしれません。

(IBDプラス編集部)

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