炎症を抑えるリンパ球「Treg」を体内で作らせる新しい治療薬候補を発見
ニュース | 2019/11/5
世界中が注目、Treg誘導による自己免疫疾患や炎症性疾患の治療
京都大学ウイルス・再生医科学研究所 坂口志文客員教授、三上統久同招聘研究員、同大大学院医学研究科 成宮周特任教授、アステラス製薬 赤松政彦研究員らの研究グループは、新規制御性T細胞(Treg)誘導化合物「AS2863619」を発見し、その作用とメカニズムを明らかにすることに成功したと発表しました。
TregはTリンパ球の一種で、過剰な免疫応答を抑える機能を持ちます。このTregを体内の狙った箇所で意図的に作らせ、自己免疫疾患や炎症性疾患を治療しようとする試みが世界的に注目を集めています。一方で、薬などを使ってTregを体内で作らせる手法は、まだ不十分な点が多いとされています。特に、炎症性疾患の患者さんで増加している「炎症性サイトカイン」が周り中にある状態でTregを作らせづらいという点は、治療の有効性を高めていくうえで課題とされています。
炎症性疾患モデルマウスの病気発症を抑制
今回研究グループは、この課題克服のため、マウスを使ってさまざまな薬の候補物質について、Tregを作らせることができるかどうかを調べていきました。その結果、「AS2863619」という薬の候補が、課題解決につながる優れた「Treg誘導薬」になる可能性が示されました。
実際に、AS2863619をマウスに投与すると、皮膚炎症、I型糖尿病、脳脊髄炎など、さまざまな炎症性疾患モデルの病気の発症が抑制されました。さらによく調べたところ、AS2863619は「CDK8/19阻害」という仕組みで効く薬だったそうです。
これらの結果から、AS2863619などの「CDK8/19阻害薬」が、Treg誘導性免疫抑制薬として、いろいろな炎症性疾患の治療に応用できる可能性があるそうです。IBD治療にも、このCDK8/19阻害薬が使われる日が来るかもしれません。今後に期待したいですね。
(IBDプラス編集部)
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