潰瘍性大腸炎で、腸内環境変化に応じた遺伝子の変化が起きていることを発見

ニュース2019/12/25

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腸内環境の変化は、潰瘍性大腸炎の大腸がんリスクを高めるのか?

慶應義塾大学医学部 坂口光洋記念講座(オルガノイド医学)の佐藤俊朗教授らの研究グループは、潰瘍性大腸炎の大腸組織で、特定の遺伝子の変化(遺伝子変異)が蓄積していることを発見したと発表しました。

潰瘍性大腸炎は、罹病期間が長くなると大腸がんの発生リスクが増加すると報告されていますが、なぜ大腸がんが増えるのか、その明確な理由は解明されていませんでした。

一方、ヒトの大腸上皮は、正常であっても加齢とともに遺伝子変異が蓄積し、大腸がん発症の原因となることがわかっています。加齢以外にも、食事の質や慢性炎症などによって引き起こされるさまざまな腸内環境の変化も、大腸の発がんリスク上昇につながります。しかし、腸内環境の変化が大腸上皮の遺伝子変異の蓄積に影響を与えるかどうかは明らかにされていませんでした。

特定の遺伝子変異をもつ上皮細胞が増え、正常な細胞と置き換わっていくことが判明

今回研究グループは、潰瘍性大腸炎患者さんから得られた大腸上皮を培養し、大腸上皮細胞を増やすことによって、効率的に遺伝子変異の解析を行いました。その結果、罹病期間が長い潰瘍性大腸炎患者さんの大腸上皮細胞には、健常人の大腸上皮に比べ、より多くの遺伝子変異が検出されました。これら遺伝子変異の多くは、大腸がんに認められる遺伝子変異ではなく、慢性炎症に関連した遺伝子変異であることがわかりました。

さらに、「オルガノイド(疑似臓器)」と呼ばれる技術によって、これらの遺伝子変異の役割も突き止めました。結果的に、潰瘍性大腸炎患者さんの大腸では、炎症環境で生存しやすい遺伝子変異を起こした上皮細胞が選択的に増え、正常な大腸上皮細胞と置き換わっていくことが明らかになりました。

今回の研究により、ヒトの大腸に蓄積する遺伝子変異は、「大腸がんのリスクになる変異」だけでなく、慢性炎症などの「腸内環境の変化に適応するための変異」もあるということが新たにわかりました。

腸内環境の変化に適応するための遺伝子変異が生じた大腸上皮細胞が、潰瘍性大腸炎の病態や、大腸がんの発症にどのような影響を及ぼすのか、今後の研究が期待されます。

(IBDプラス編集部)

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