IBDの原因にもなる持続的なインターフェロン刺激が腸を脆弱化させると判明

ニュース2020/7/28

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謎に包まれていた、腸管上皮幹細胞の「バランス調整機能」

東京医科歯科大学・難治疾患研究所・生体防御学分野の樗木俊聡教授らの研究グループは、持続的なインターフェロン刺激が腸幹細胞の枯渇や機能低下の原因になることを発見したと発表しました。

腸管上皮は、栄養や水分の吸収に加えて、腸内細菌から生体を保護する粘膜バリアとして大切な役割を担っています。絨毛の奥にある管状のくぼみ「陰窩」には、腸再生の源として腸管上皮幹細胞(ISC)が存在しており、ISCは自分自身を再生しつつ(自己複製能)、吸収上皮や分泌上皮などの新しい上皮細胞を供給することで(多分化能)、腸管上皮の恒常性を維持しています。しかし、自己複製能と多分化能のバランスを適性に調節するメカニズムは、これまでわかっていませんでした。

IFN治療の副作用でIBDになる人も

インターフェロン(IFN)とは、ウイルスや腫瘍細胞などに対抗するために体内で作られる免疫物質です。研究グループは今回、マウスによる実験で、DNAに結合する「IRF2」というタンパク質が、必要に応じてI型インターフェロンを出したり止めたりすることで、ISCの自己複製能と多分化能のバランスを調整し、ISCの機能を維持していることが明らかにしました。

一方で、IFNが出しっぱなしになると組織幹細胞は徐々に自己複製能を失い、幹細胞が減少して腸上皮が脆弱になってしまうこともわかりました。

実際に、ウイルス性肝炎や多発性硬化症でIFN治療を行うことがありますが、副作用として炎症性腸疾患(IBD)や、セリアック病(グルテンの摂取で腸管に炎症が起こる自己免疫疾患)を発症するケースが報告されています。これは、IFN治療による免疫系の過剰な活性化のみならず、腸上皮組織そのものの脆弱化の結果である可能があるそうです。

IFN調節システムの発見が、IBDの発症原理解明につながる可能性

今回の研究成果により、IFNシグナルの異常に関連する疾患の発症原理に新たな可能性が見出されました。研究グループは、「今回明らかになったIFN調節システムは、腸上皮以外の上皮組織でも働いている可能性があり、新たな幹細胞維持システムとして今後の展開が期待される」と、述べています。

IFN治療の副作用でIBDを発症することがあるなんて、今回初めて知りました!IFNによる腸上皮の調節メカニズムが明らかになったことは、IBDの原因解明にまた一歩近付いたと言えるのではないでしょうか?今後の展開に注目です。

(IBDプラス編集部)

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