ステロイドを15年以上使用…。離脱症状について教えて下さい
医師と患者のお悩み相談 | 2025/5/28
お尋ねいたします。潰瘍性大腸炎に患いプレドニンをずっと服用してきました。現在12.5ミリから10ミリに減量しました。2.5ミリずつ2週間ずつ減らしていき、2ヶ月で0にする予定です。プレドニン自体は15年以上服用してきました。5ミリから15ミリを行ったり来たりです。ご質問ですが、
1.離脱症状はどのようなことがありますか?
2.私の場合副腎はかなり弱ってる可能性があるのでしょうか?
3.減量中すぐには激しい運動(仕事)などはしない方が良いのでしょうか?
ご教示の程宜しくお願いいたします。減量開始1日目ですが、特に変わりはありません。
(40代/男性)
1.離脱症状はどのようなことがありますか?
2.私の場合副腎はかなり弱ってる可能性があるのでしょうか?
3.減量中すぐには激しい運動(仕事)などはしない方が良いのでしょうか?
ご教示の程宜しくお願いいたします。減量開始1日目ですが、特に変わりはありません。
(40代/男性)
A先生からの回答
小児科
A先生
プレドニン(プレドニゾロン)を長期間服用されており、現在減量中とのことですね。15年以上服用されていた場合、副腎機能が低下している可能性があるため、慎重な減量が必要です。
1. 離脱症状について
プレドニンの減量による離脱症状(ステロイド離脱症候群)は、副腎機能の低下や体の適応の問題により発生します。よく見られる症状には以下のようなものがあります。
(1) 副腎不全による症状(副腎機能低下が原因)
強いだるさ、倦怠感(朝起きるのがつらい)
低血圧、めまい、立ちくらみ(起立性低血圧)
食欲不振、体重減少、吐き気
低血糖(冷や汗、ふらつき)
筋力低下、関節痛、筋肉痛
(2) ステロイド離脱症候群(ステロイドの抗炎症作用が急に減る影響)
関節や筋肉の痛み(ステロイドリウマチ様症状)
発熱(微熱)
皮膚症状(紅斑、湿疹、かゆみ)
→ 離脱症状は通常、減量を始めて数日から数週間後に出ることが多いため、今は症状がなくても今後注意が必要です。
2. 副腎機能はかなり弱っている可能性があるか?
15年以上プレドニンを5〜15mgで維持していた場合、副腎機能が低下している可能性は高いです。特に、5mg以上のプレドニンを長期間服用していた場合、副腎が自分でステロイドを作る力が低下し、急に減量すると副腎不全を起こすリスクがあります。
→ 確認するべき検査
朝8時の血中コルチゾール(副腎機能が回復しているかチェック)
ACTH刺激試験(副腎の予備能力を確認)
→ 副腎機能が弱っている場合
5mg以下での減量はより慎重にする必要があります。
急な体調不良や感染時にステロイド補充が必要になる可能性がある
完全にプレドニンをやめた後も、数ヶ月〜1年は副腎が正常に戻らないことがある
3. 減量中に激しい運動(仕事)は控えたほうが良いか?
はい、減量中は激しい運動やストレスのかかる仕事は慎重にするべきです。理由としては、
副腎機能がまだ十分に回復していない可能性があるため、ストレスに対する耐性が低い
急な血圧低下や低血糖を起こすリスクがある
どの程度の運動・仕事なら大丈夫?
・軽い運動(ウォーキング、ストレッチ、軽い筋トレ) → OK
・日常生活レベルの活動(家事、軽作業) → OK
・激しい運動(長距離ランニング、ハードな筋トレ) → 減量が落ち着くまで控えめに
・体力を大きく消耗する仕事(長時間立ち仕事、肉体労働) → 体調を見ながら調整
質問者さん
詳しく教えて頂き誠にありがとうございます。追加でご質問なのですが、毎回診察時日に採血はしておりますが、通常今やってる採血で副腎についてわかるのでしょうか?
cbc wbc RBC hb ht mcv mch mchc plt 血沈
1h 2h tp alb ast alt ld-if ck r-gtp alq-if amy
t-bil t-cho ldl-cho tg bun cre egfr ua 血清glu
na k ci crp fib-4 推定ccr
以上になります。宜しくお願いいたします。
A先生
現在の採血項目では、副腎機能に直接関連するホルモン検査は含まれていません。副腎の機能を評価するには、以下のホルモン検査が必要になることが一般的です。
副腎機能を評価するために追加可能な検査
コルチゾール(Cortisol)
副腎皮質から分泌されるストレスホルモンで、副腎機能低下症(アジソン病)やクッシング症候群の評価に使用します。 通常、早朝(8時前後)と午後(16時前後)で測定することが多いです。
ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)
下垂体から分泌され、副腎皮質を刺激してコルチゾールを分泌させます。 高値なら原発性副腎機能低下症(アジソン病)、低値なら二次性副腎機能低下症の可能性があります。
アルドステロン & レニン活性
アルドステロンは副腎から分泌され、ナトリウム・カリウムバランスや血圧調整に関与します。低アルドステロン血症や原発性アルドステロン症(Conn症候群)などの評価に必要です。血清 K(カリウム) の異常がある場合には、追加検査を検討することが推奨されます。
DHEA-S(デヒドロエピアンドロステロン硫酸)
副腎皮質由来のアンドロゲンで、副腎腫瘍や先天性副腎過形成(CAH)の評価に用います。
17-OHプロゲステロン
先天性副腎過形成(CAH)スクリーニングに使用されます。
現時点の採血項目との関連
Na(ナトリウム)、K(カリウム)
→ アルドステロン異常がある場合、低ナトリウム血症や高カリウム血症がみられることがあります。
血清Glu(血糖)
→ クッシング症候群では血糖上昇、アジソン病では低血糖がみられることがあります。
Cr(クレアチニン)、eGFR
→ 腎機能と副腎機能は関連があるため、二次的な評価として参考になります。
まとめ
現在の採血では、副腎の直接的な機能評価はできませんが、電解質(Na, K)や血糖の異常があれば副腎の問題を示唆する可能性があります。 副腎機能の評価が必要であれば、コルチゾール、ACTH、アルドステロン、レニン活性、DHEA-S などの追加検査を医師と相談することをおすすめします。
質問者さん
再度詳しくご教示頂き誠にありがとうございます。改めてのご質問なのですが、先日採血したところ、GLU122 NA141.5 k3.90でした。
ここ半年間GLU122(最高値)90(最低値)
NA141.9(最高値)137.9(最低値)
K4.54(最高値)3.67(最低値)
なのですが、この数値はいかがなものでしょうか?
A先生
全く問題ありませんよ。
質問者さん
畏まりました。いろいろと詳しくご教示頂き誠にありがとうございました。主治医と話して副腎の検査など聞いてみます。誠にありがとうございました。
B先生からの回答
免疫内科、他
B先生
> 1.離脱症状はどのようなことがありますか?
倦怠感、微熱など、急激だと腹痛、血圧低下なども知られます。
> 2.私の場合副腎はかなり弱ってる可能性があるのでしょうか?プレドニン自体は15年以上服用してきました。5ミリから15ミリを行ったり来たりです。
生理量を超えた長期の内服では、ご自身の副腎でのステロイド産生能が抑制され、不可逆になっている可能性もあります。
> 3.減量中すぐには激しい運動(仕事)などはしない方が良いのでしょうか?
副腎離脱症候群が心配なのは、生理量である3~4mgを切ってくるあたりかと思います。その頃に倦怠感等が出ると注意が必要です。また、感染症や全身麻酔の手術など身体的ストレスがかかる場合はステロイドカバーといわれるように追加で投与を要する場合もあります。
質問者さん
誠にありがとうございます。
C先生からの回答
耳鼻咽喉科
C先生
長期にわたりステロイドを使用しているので副腎機能は高度に低下して副腎不全の状態になっており、離脱は長期間かけてかなり慎重に行う必要があります。離脱症状としては強い倦怠感、微熱、血圧低下などです。自分の体で十分なステロイドが産生できないので、急激な減量や中止を行うと副腎クリーゼという重篤な状態になることはあります。ステロイドはストレスホルモンであり、ストレス、過労、発熱、手術などの侵襲時には通常時より多めのホルモンを必要とします。従ってあまり激しい運動や過労などはできれば避けたほうが無難かと思います。
質問者さん
誠にありがとうございます。