大学受験を前に再燃?受験期に安全で最適な治療法を知りたい
医師と患者のお悩み相談 | 2025/12/25
18歳の娘は、3年前の高校受験前に潰瘍性大腸炎の診断されました。リアルダが合わず膵炎になり入院し、その後中度全大腸炎型まで悪化してしまいました。ステロイドは効果があまりなく、リンヴォックで寛解し、受験終わってからペンタサ、イムランを続けてみましたが1年後再燃し、昨年からのペンタサとエンタイビオ使用し、今年の夏に寛解(便中カルプロテクチン検査で確認)したのですが、大学受験が近づいてきて、下痢が続き、先日から血便が続くようになりました。受験を控えているため、今は大腸検査もできず、ひとまずリンヴォックに戻すことを勧められましたが、免疫が落ちるので心配事が増えると思い、相談です。
まずエンタイビオで寛解していたのに、短期間で再燃することはあるのですか?またエンタイビオの効果はあり、安全なお薬なので、コレチメントの併用等、受験期でも安全な薬の選択肢は他にないでしょうか?漢方薬を一時的に利用するのも良いでしょうか?受験直前に控え、どう治療するのが一番良いかわからず戸惑っています。よろしくお願いします。(10代/女性)


A先生からの回答
消化器内科、他
A先生
記載内容だけでは病態を医学的に推測することは困難ですが、寛解状態に導入されたという診断根拠も、診断の信憑性も不明確です。便中カルプロテクチン検査は炎症の評価の一助にはなりますが、一般に寛解と診断するためには、内視鏡検査と生検による組織学的評価が必須です。また現在の内視鏡所見の詳細も不明であり、記載内容だけでは潰瘍性大腸炎の再燃の病型分類も、重症度分類も分からず、治療方針の選択も判断困難です。いずれにしても現在再燃しているのであれば、内視鏡と臨床症状により現在の病型と重症度判定を行い、正確な病態評価に基づいて、適切な治療を選択して寛解導入を目指します。
一般にステロイドや5-ASA製剤以外にも、アザチオプリンや6-MPなどの免疫調節薬、シクロスポリン・タクロリムスなどの免疫抑制剤の投与やレミケード・ヒュミラ・シンポニーなどの抗TNFα抗体製剤、抗α4β7インテグリン抗体であるエンタイビオ、抗IL-12/23抗体であるステラーラ、抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体であるスキリージ・オンボー・トレムフィアなどの生物学的製剤、あるいはJAK阻害剤であるゼルヤンツ・ジセレカ・リンヴォックやゼポジアやベルスピティなどのスフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体調節剤、α4インテグリン阻害剤であるカログラなど病態に合わせた多種多様な治療選択肢があります。設備があるならば、血球成分除去療法(LCAP、GCAP)なども選択可能です。
問題は主治医がこれらの薬剤選択に精通した診療経験豊富な炎症性腸疾患専門医かどうかです。再寛解導入がなされて、維持療法に入り、病態が安定するまでは、炎症性腸疾患の専門医の診療をお勧めします。正しい病態評価に基づいた適切な治療を望まれるのであれば、設備の整った医療機関の炎症性腸疾患専門医を紹介して頂きましょう。お大事にして下さい。
質問者さん
ありがとうございました。主治医は専門医だと思っていますが、不明瞭な内容が多いとのことで少し不安になりました。状況落ち着けば、改めて相談先を考えたいと思います。
B先生からの回答
消化器内科
B先生
エンタイビオで寛解していたのに、短期間で再燃することはあります。受験期でも安全な薬の選択肢は リンヴォックでしょう。漢方薬を一時的に利用するのも良いですが、効果を保証できません。
質問者さん
的確な回答をいただきありがとうございます。まだ主治医に実際に診断してもらってなかったので、漢方医に相談するか迷っていましたが、効果を実感できているお薬が一番安心できると考え直しました。そこで再度質問ですが、リンヴォックで様子見た後、症状落ち着いていれば春にはエンタイビオに戻すことも可能でしょうか?これまでカログラも試し、効果あまり感じず、エンタイビオは長期安定して利用できると説明受けており、効がなくなることも余りないと頼りにしてました。今回のことで、他のお薬を考えた方が良いのでしょうか?
B先生
それが良いと思います。まずは有効であったリンヴォックを使って下さい。
C先生からの回答
全科
C先生
安全なお薬なので、コレチメントの併用等、受験期でも安全な薬の選択肢は他にないでしょうか?とのことですが、血便などがあり、再燃の可能性はあると思います、コレチメントなど、潰瘍性大腸炎の専門医に、薬の調整をしていただくのがいいと思います。