潰瘍性大腸炎の診断や炎症状態の評価に「抗EPCR抗体検査」が有用と判明

ニュース2022/1/24

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300人以上を対象に測定した結果、IBD患者さん以外では検出されないことが判明

東北大学病院消化器内科の角田洋一病院講師らの国際共同研究グループは、国内外の炎症性腸疾患(IBD)の診断における「抗EPCR抗体検査」の有用性を明らかにしたと発表しました。

IBDを正しく診断し、病状をより正確に把握するためには大腸内視鏡検査が必要ですが、肉体的にも負担が大きいため、回数が少なくて済む検査方法の開発が求められています。

今回研究グループは、IBD患者さん、大腸がん患者さん、健常人ボランティアなど、合計300人以上の日本人と米国人の血清サンプルにおける血管内皮細胞プロテインC受容体(EPCR)に対する自己抗体(抗EPCR抗体)を測定し、この抗体が大部分の潰瘍性大腸炎患者さんで検出される一方、健常人、大腸がん、その他の腸炎など、IBD以外の患者さんでは検出されないことを発見しました。これにより、抗EPCR抗体の検査がIBDの診断、特に潰瘍性大腸炎の診断に有用であることが示されました。

EPCRは2020年に高安動脈炎の原因となり得るタンパク質として報告されたものですが、高安動脈炎は潰瘍性大腸炎を合併することが多く、潰瘍性大腸炎の病態との関係性も示唆されます。

内視鏡検査無しで潰瘍性大腸炎の炎症の状態が評価できる可能性

これ以外にも「大腸内視鏡検査で確認した潰瘍性大腸炎の活動性が高い患者さん」「さまざまな薬が効きにくい患者さん」「関節炎など腸管以外の合併症をともなう患者さん」で、この抗体価が高いことが明らかになりました。

今回の研究により、「抗EPCR抗体を測定することで潰瘍性大腸炎の診断ができる可能性」と「内視鏡検査無しで潰瘍性大腸炎の炎症の状態が評価できる可能性」が示されました。

「今後は、この検査が将来の難治化の予測や、患者ごとに適切な治療薬を選択する個別化医療を実現ために重要な検査となる可能性も期待される」と、研究グループは述べています。

(IBDプラス編集部)

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