IBDを発症しやすいマウスの作製に成功、新たな治療法開発に期待
ニュース | 2017/11/8
MKL1遺伝子がないマウスでは、腸炎が軽く
病気の発症メカニズム解明や治療法の開発で用いられる実験動物。炎症性腸疾患(IBD)の場合には、試薬を飲ませて腸炎を生じさせたマウスが使われることが多くあります。最近の研究から、MKL1という遺伝子がないマウスでは、腸炎が軽くなることがわかってきました。
IBDを発症する仕組みについては、マクロファージと呼ばれる白血球の機能が異常をきたして、腸内環境を一定に保てなくなることが、発症に関係していると考えられてきました。東京医科歯科大学の研究グループは、マクロファージに特異的にMKL1遺伝子を高発現するマウスを作り出すことに成功。このマウスを用いた実験から、マクロファージでのMKL1遺伝子発現とIBD発症との関連を明らかにしました。
マクロファージに特異的にMKL1遺伝子が高発現するマウスを作製
研究ではまず、試薬を飲ませて腸炎を起こさせたマウスで、腸の組織に広がったマクロファージを調査。MKL1遺伝子が大量に発現していることを発見しました。そこで、マクロファージに特異的にMKL1遺伝子が発現しやすいマウスを作製したところ、このマウスは試薬を飲ませなくても自然に腸炎を発症。マクロファージの炎症を抑える機能が低下しており、炎症を起こしやすい状態になっていること、試薬を飲ませて腸炎を生じさせると重症化しやすいこともわかりました。
研究グループは、今後はMKL1遺伝子に着目してIBDの研究を進めることで、発症の仕組みが明らかになるだけでなく、今回作製したマウスを用いた実験から、新しい治療法開発につながることも期待できると述べています。
(IBDプラス編集部)
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