新型コロナ流行中に日本人IBD患者さんが感じる不安を明らかに

ニュース2023/3/9

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コロナ禍における日本人IBD患者さんの不安は?3,032人を対象にアンケートを実施

札幌医科大学医学部 消化器内科学講座の仲瀬裕志教授を代表とする研究グループは、炎症性腸疾患(IBD)患者さんが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行中に感じる不安の内容を明らかにしたと発表しました。

新型コロナのパンデミックにより、IBD患者さんは「受診による感染の恐怖」と「診察を延期することによるIBDの悪化への不安」との間で、大きなジレンマを経験していると予想されます。また、この研究が実施された時期には、IBD治療で多く行われている免疫抑制療法が新型コロナウイルス感染に与える影響が研究中だったため、治療を自己中断してしまう可能性も考えられました。これらの不安や行動変容は、地域や国の特性により大きく異なることが予想されましたが、日本での大規模な調査は行われていませんでした。

そこで研究グループは、厚生労働科学研究費補助金 難病性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(杏林大学医学部 消化器内科学 久松理一教授らの研究グループ)における「JAPAN IBD COVID-19 Taskforce」の事業として、2020年3月~2021年6月の間に31の医療機関を訪れた3,032人のIBD患者さんを対象に、All Japanでのアンケート調査を行いました。

感染者数増加から1か月後に不安が増強、女性・電車通勤・免疫抑制療法などでより強く

その結果、不安の程度が新型コロナの波に応じて変動し、人口あたりの感染者数が増加してから1か月後に不安が増強していることがわかりました。

また、不安の上位3つは「通院中に新型コロナウイルスに感染することへの不安」「基礎疾患としてのIBDを持つことにより新型コロナウイルスに感染するリスクが増えるのではないかという不安」「IBD治療薬により新型コロナウイルスに感染するリスクが増えるのではないかという不安」だったということです。

さらに、女性、専業主婦(主夫)、長い通院時間、電車による通院、免疫抑制療法の使用などに該当するIBD患者さんは「不安がより強い」ことも判明。日本で新型コロナウイルスワクチンが導入された時期からIBD患者さんの不安は低下したそうです。

多くが予定通り通院・治療継続、医師から新型コロナの情報を得た患者さんは3割程度

一方で、ほとんどのIBD患者さんは予定通りに通院し、治療薬を継続していました。しかし、医師から治療継続について説明を受けたIBD患者さんは42.6%、医師からCOVID-19の予防に関する情報を受けたIBD患者さんは35.6%に留まりました。

研究グループは、今回の研究で得られた「IBD患者さんがCOVID-19に対して感じる不安」の内容を踏まえ、適切な説明や情報発信を行い、不安を可能な限り軽減する必要があるとの考えを示しています。

「いずれCOVID-19は終息すると考えられるが、日本在住のIBD患者がどのようなことに対して不安を感じ、どのようなことを医療関係者に期待しているかということは、今後の日常診療においても重要な情報になると考えられる」と、研究グループは述べています。

近日公開予定の「IBD白書2022」にも新型コロナに関する質問があるので、結果をお楽しみに!

(IBDプラス編集部)

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