リサンキズマブ維持療法、寛解後の活動性潰瘍性大腸炎に対する第3相試験で良好な成績
ニュース | 2023/7/12
リサンキズマブ維持療法の有効性と安全性を評価するCOMMAND試験
米アッヴィ社は7月10日、中等症~重症の活動性潰瘍性大腸炎を有する成人患者さんを対象としたリサンキズマブによる維持療法を評価する第3相試験(COMMAND試験)において、良好なトップライン結果が得られ、180mgまたは360mgを皮下投与したグループ(リサンキズマブ群)が、主要評価項目である52週時の臨床的寛解および主な副次評価項目を達成したことを発表しました。
リサンキズマブは、IL-23を選択的にブロックするIL-23阻害薬。IL-23は炎症に関与するタンパク質で、クローン病を含む多くの慢性免疫関連疾患に関連すると考えられています。同剤はクローン病、尋常性乾癬、乾癬性関節炎(関節症性乾癬)の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)より承認されました。現在、クローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬、乾癬性関節炎(関節症性乾癬)を対象とする第3相試験が進行中です。
国内において同剤は、中等症~重症の活動期クローン病、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、掌蹠膿疱症に対する治療薬として承認されていますが、本文中にある潰瘍性大腸炎の適応症は承認されていません。
COMMAND試験は、中等症~重症の活動性潰瘍性大腸炎を有し、リサンキズマブによる寛解導入療法で臨床的改善が見られた成人患者さんを対象に、リサンキズマブ皮下投与による維持療法の有効性および安全性を評価するために設計された第3相、多施設共同、無作為化、二重盲検、比較対照、52週間の試験です。
同試験では、寛解導入療法で奏功した第2b/3相INSPIRE試験の患者さんに対し、再度リサンキズマブ(180mgまたは360mg)を皮下投与する群と、リサンキズマブ投与を中止する対照群に無作為に割り付けました。なお、患者さんの約75%は、これまでに潰瘍性大腸炎に対する1種類以上の先進治療(生物学的製剤、JAK阻害薬および/またはS1P受容体モジュレーター)が治療不成功の患者さんでした。
臨床的寛解、内視鏡的改善、組織学的・内視鏡的粘膜改善いずれも対照群と比べ有意に高い結果に
52週時に臨床的寛解を達成した患者さんの割合は、寛解導入療法のみの対照群では25%だったのに対し、リサンキズマブ180mg投与群では40%、360mg投与群では38%と、有意に高い結果でした。
内視鏡的改善を達成した患者さんの割合は、寛解導入療法のみの対照群では32%だったのに対し、リサンキズマブ180mg投与群では51%、360mg投与群では48%でした。また、組織学的・内視鏡的粘膜改善を達成した患者さんの割合は、寛解導入療法のみの対照群では23%だったのに対し、180mg投与群では43%、360mg投与群では42%と有意に高い結果でした。
ステロイド不使用での臨床的寛解を達成した患者さんの割合は、寛解導入療法のみの対照群では25%だったのに対し、リサンキズマブ180mg投与群では40%、360mg投与群では37%と有意に高い結果でした。
なお、安全性に関する試験結果は、これまでに確認されているリサンキズマブの安全性プロファイルと一致し、新たな安全性のリスクは認められなかったということです。
(IBDプラス編集部)
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