ベドリズマブ、活動期潰瘍性大腸炎患者を対象とした第3相試験で主要評価項目を達成
ニュース | 2018/7/25
主要評価項目は試験開始52週時点での臨床的寛解を達成した患者さんの割合
武田薬品工業株式会社は7月19日、ベドリズマブ皮下投与製剤による維持療法の有効性および安全性を検討した「VISIBLE 1試験」の結果を発表しました。
同試験は、非盲検下でベドリズマブ静注製剤による導入療法を2回行った後、試験開始6週時点で臨床的改善が得られた中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎の成人患者を対象とした第3相試験です。主要評価項目は試験開始52週時点での臨床的寛解を達成した患者さんの割合でした。
今回の申請は、中等症から重症のクローン病患者157名を対象に、導入療法及び維持療法におけるエンタイビオの有効性、安全性及び薬物動態を検討した国内での第3相試験「CCT-001試験」の結果と、中等症から重症のクローン病患者を対象とした海外での第3相試験)「GEMINI II試験」(対象患者数1,115名)「GEMINI III試験」(対象患者数416名)の結果に基づくもの。国内臨床試験の結果は、今後学会などでの公表を予定しているそうです。
安全性も既知のプロファイルと一致、詳細データは学術会議で公表予定
VISIBLE 1試験では、試験開始6週時点からベドリズマブ皮下投与製剤を2週毎に投与し、52週時点で臨床的寛解が得られた患者の割合をプラセボ投与群と比較。その結果、臨床的寛解が得られた患者の割合は、ベドリズマブ皮下投与群の方が統計学的に有意に高く、主要評価項目を達成したそうです。安全性データはベドリズマブの既知の安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性に関する兆候も認められませんでした。また、試験の詳細なデータは、今後開催される学術会議での公表も予定しているそうです。
同社のGastroenterology Therapeutic Area UnitのHeadであるAsit Parikh氏は、「VISIBLE 1試験の主要評価項目を達成したことは、潰瘍性大腸炎患者さんのニーズを満たす新たな治療法を開発する当社の取り組みにおいて大きなマイルストンです。今回の結果は非常に良好であり、20万人以上の患者さんにお使いいただいているベドリズマブの確固たる臨床プロファイルを築くものです。この革新的な治療オプションを患者さんにお届けできるよう、当社は本データについて各国の保健当局と協議してまいります」と述べています。
(IBDプラス編集部)
<参考>べドリズマブ(製品名:エンタイビオ)とは
ベドリズマブは、中等症から重症の潰瘍性大腸炎またはクローン病に対する治療薬として、現在60カ国以上の国で承認を取得しています。潰瘍性大腸炎は、炎症性細胞の大腸粘膜への浸潤が増加し、これらの炎症性細胞の存在によって潰瘍性大腸炎に特徴的な炎症性反応が引き起こされます。本薬は、炎症を起こしている腸管組織に炎症性細胞の一種であるTリンパ球の遊走を阻害することで、炎症を軽減するようデザインされています。細胞接着分子であるMAdCAM-1は腸管の血管内皮に選択的に発現しており、一方α4β7インテグリンは循環血液中のある種の白血球サブセットに発現しています。本薬は、α4β7インテグリンに特異的に結合し、α4β7インテグリンとMAdCAM-1との相互作用を阻害することにより、炎症を起こした腸管組織へのTリンパ球の遊走を抑制し、炎症を軽減します。
引用:武田薬品工業株式会社 潰瘍性大腸炎治療剤「エンタイビオ」の日本における製造販売承認取得について
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