潰瘍性大腸炎を合併しやすい「高安病」の病態メカニズムを解明
ニュース | 2018/12/26
潰瘍性大腸炎と遺伝的・分子的共通性をもつ高安病
京都大学の研究グループは12月17日、高安病に関連する新規遺伝子を発見し、その病態メカニズムを解明したと発表しました。
高安病(高安動脈炎/大動脈炎症候群)は、若年女性の発症が多い、動脈の炎症を主体とする全身性血管炎です。はっきりとした原因は、まだ明らかになっていません。患者数は日本国内で約6,000人と言われています。合併症として大動脈弁閉鎖不全症、肺梗塞、失明などがあります。
また、潰瘍性大腸炎(UC)と合併しやすいことが同研究グループによって明らかにされており、両疾患には「遺伝的・分子的共通性」があることもわかっています。実際に、高安病の患者さんを対象として、炎症性腸疾患(IBD)の治療で用いられるウステキヌマブを使用する臨床試験を行ったところ、良好な結果が出ていました。
高安病の新規関連遺伝子を6つ発見
今回研究グループは、各施設の患者さんに加え、高安病の患者団体「あけぼの会」から協力を得て、患者さんのDNAを収集。国内患者(約6,000人)の10%以上の検体を集めて高安病の全ゲノム関連解析を行い、新規関連遺伝子を6つ発見しました。
次に、この6つの遺伝子と、先行研究で高安病との関連がわかっていた遺伝子について、遺伝学的に解析したところ、自然免疫にかかわる細胞である「NK細胞」が高安病の病態に重要であることが推定されました。さらに、今回発見した6つの遺伝子のうちの1つである「LILRA3遺伝子」と、先行研究で高安病との関連が判明していた「HLA-B52遺伝子」とが、相互作用して免疫系の制御の異常を引き起こし、高安病の病態に関与していることも明らかになりました。これらの結果から「NK 細胞の過剰な活性化」と、「NK 細胞の抑制機構の低下」が高安病に関わっている可能性が考えられるそうです。
研究グループは、「今後、NK細胞と高安病の関連の詳細な研究を進めるほか、さらなる関連遺伝子の発見を目指して研究を進める予定」としています。今回の研究で高安病の病態が明らかにされたことで、治療法の改良につながる研究がより進展していくことが期待されます。
(IBDプラス編集部)
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