IBD患者さんにおける「新型コロナ重症化因子」が判明

ニュース2022/2/16

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IBD患者さんの新型コロナの重症化率は一般に比べて低い

札幌医科大学医学部消化器内科学講座の仲瀬裕志教授を代表とする研究グループ(日本人炎症性腸疾患患者におけるCOVID-19感染者の多施設共同レジストリ研究グループ:J-COSMOS group)は、炎症性腸疾患(IBD)患者さんにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化因子を明らかにしたと発表しました。

IBD患者さんは免疫を抑える治療薬を常用することが多いため、新型コロナに罹患しやすい可能性や、重症化しやすい可能性が危惧されていました。

今回の研究は、参加登録された医療機関に通院中または入院したIBD患者さんで、新型コロナに罹患した人を対象に、IBD の活動性、IBD の治療薬、COVID-19 の重症度などについて調査しました。

その結果、日本人のIBD患者さんにおける「新型コロナの累積推定発症率」は0.61%で、日本の一般人口における累積発症率より低いということがわかりました。これは、「IBD患者さんが自分の免疫が弱いことを自覚し、感染予防を徹底している」ことの表れと考えられるそうです。一方、新型コロナにかかったIBD患者さんのうち、重症化した人は7%でした。

「高齢」「肥満」「IBDに対するステロイド使用」が新型コロナの重症化因子と判明

また、「COVID-19の発症でIBDの病状が悪化することは少ない」ということも判明。さらに、統計学的解析によって「高齢」「高BMI(肥満)」「IBDに対するステロイドの使用」が、IBD患者さんにおける新型コロナの独立した重症化因子であることが判明しました。

今回の研究により、IBD治療薬としてのステロイドの使用が、新型コロナを悪化させるリスクであることが明らかにされました。この結果を受けて研究グループは、「COVID-19流行下において、IBD治療のためにやむを得ずステロイドを使用する際は、なるべく投与期間を短くすることが推奨される」との考えを示しています。

一方で、これまで不安視されていたステロイド以外のIBDにおける免疫抑制治療薬(チオプリン製剤、抗TNF-α抗体製剤、JAK阻害剤)は、新型コロナを重症化させるリスクが少ないことが明らかになりました。

研究グループは、新型コロナ罹患中に関するIBD治療薬の継続または休薬の安全性についての解析や、新たな変異株の流行によるIBD患者さんへの影響などについて、さらなる調査研究を続けている、としています。

(IBDプラス編集部)

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