活動期クローン病治療薬として、ウパダシチニブの承認を欧州医薬品委員会が推奨

ニュース2023/3/24

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英国では2023年1月に承認済み

米アッヴィ社は、ウパダシチニブ水和物(以下、ウパダシチニブ) 45mg(寛解導入療法時の用量)、15mg、30mg(維持療法時の用量)について、既存治療または生物学的製剤で効果不十分、効果減弱または不耐容だった中等症~重症の活動性成人クローン患者さんの治療薬としての承認を、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品委員会(CHMP)が推奨したと発表しました。

ウパダシチニブは、JAK阻害薬と呼ばれる種類の薬で、免疫細胞がもつヤヌスキナーゼ(JAK)という酵素の働きをブロックし、炎症の原因となる免疫物質「サイトカイン」が作られるのを抑えます。

日本では、中等症~重症の潰瘍性大腸炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎、既存治療で効果不十分な関節リウマチ、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)、アトピー性皮膚炎、強直性脊椎炎患者さんの治療薬として承認されています。現在、クローン病・巨細胞性動脈炎・高安動脈炎を対象とするウパダシチニブの第3相試験が進行中です。

英国では、クローン病治療薬として2023年1月に承認されています。EUでは、体軸性脊椎関節炎・関節症性乾癬・関節リウマチ・中等症~重症の活動性潰瘍性大腸炎の成人患者さん・アトピー性皮膚炎の成人および青年患者さんの治療薬として承認されています。クローン病治療薬としては、安全性および有効性について評価中の段階です。

JAK阻害薬で初となる1日1回経口薬の実現に向け「大きな一歩」

クローン病治療薬としてのウパダシチニブの承認申請は、2つの寛解導入療法試験(U-EXCEEDおよびU-EXCEL試験)ならびに 1つの維持療法試験(U-ENDURE試験)から得られたデータに基づいています。ウパダシチニブのグループは、寛解導入療法試験では1日1回45mg、維持療法試験では1日1回15mgまたは30mg を投与するグループに無作為に振り分けられました。その結果、3つの第3相試験全てにおいて、プラセボ(偽薬)のグループと比較して、ウパダシチニブのグループで有意に多くの患者さんが、主要評価項目である臨床的寛解および内視鏡的改善を達成したということです。

また、安全性に関する試験結果は、これまでに確認されているウパダシチニブの安全性プロファイルとおおむね一致しており、重篤な有害事象の発生率はプラセボのグループと同様でした。また、悪性腫瘍、主要心血管イベント、静脈血栓塞栓性イベント、消化管穿孔の報告も低頻度(100患者年あたり1.0件未満)だったとしています。

同社は「今回、ウパダシチニブがクローン病治療薬としてCHMPの承認推奨を得たことは、患者さんの生活に変化をもたらし得る、JAK阻害薬では初の1日1回経口薬の提供の実現に向けた、大きな一歩だ」と、述べています。

(IBDプラス編集部)

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