IBD患者さん100人の臨床/遺伝情報を統合したデータベースと患者パネル構築に成功

ニュース2023/6/7

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既報のIBD発症リスクに関連する多数の遺伝子を統合したスコアを計算

3Hメディソリューション株式会社と株式会社ジーンクエストは、100人のIBD患者さん(潰瘍性大腸炎80人、クローン病20人)を対象に実証研究を実施。短期間のうちに特定疾患患者さんの「遺伝情報」と「臨床情報」を収集し、それらの情報を統合したデータベースおよび患者パネルの構築に成功したと発表しました。

今回の実証研究では、3~4か月で計100人の患者さんを対象とした遺伝情報や臨床情報のデータベース構築に成功しました。

これまでの大規模な遺伝的な研究で報告されているIBDの発症リスクに関連している多数の遺伝子を統合した「多遺伝子リスクスコア」を計算し、収集したIBD患者さんのスコアを確認したところ、想定通り、IBD患者さんは多遺伝子リスクスコアが大きい傾向となり、4分の1以上の患者さんが上位10%の高リスクスコア集団に属していたそうです。

多遺伝子リスクスコアとは、発症リスクに複数の遺伝子が関わる疾患や体質において、数十~数万の遺伝子の違いにさまざまな重みづけを行い総合したスコアのこと。生活習慣病など多くの遺伝子が関与する疾患や体質においては、多遺伝子リスクスコアを使用した方が、精度よく評価できることが近年の研究により示されており、各疾患に対する多遺伝子リスクスコアの予測モデルが開発されてきています。

遺伝子情報と発症前後の食事の趣向の相関から、発症メカニズムを深堀できる可能性

今回の研究におけるアンケートで、脂っこい食べ物の摂取状況は、発症前に比べると、発症時に2割、発症後には3割減っていたことがわかりました。今後、遺伝子情報と発症前後の食事の趣向の相関を調べることで、発症メカニズムや薬剤の満足度への影響などを深堀することが可能だということです。

また、治験や臨床試験に「参加したい」「どちらかといえば参加したい」との回答は95%でした。遺伝情報が有用とされる疾患においては、希望者にとって参加可能性の高い治験・臨床試験の情報提供が期待できるとしています。

患者主観と遺伝子変異の相関を調べることで、新薬開発への貢献に期待

両者は「本成果は、遺伝情報をあわせ持つIBDの患者パネルを活用することで、従来カバーすることが難しかった治験・臨床試験におけるIBD患者の試験参加者の募集が可能となるだけでなく、患者が感じる主観的な薬剤の満足度や生活習慣と遺伝子変異の相関を調べることで、IBDの発症メカニズムの解明や新薬の開発に貢献できると考えられる」と、述べています。

(IBDプラス編集部)

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