腸管の異物取り込み担当「M細胞」の増加で大腸炎が抑制されることが判明

ニュース2020/1/21

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腸管の免疫応答活性化の鍵を握る「M細胞」

慶應義塾大学薬学部の木村俊介准教授(北海道大学大学院医学研究院 客員研究員)、中村有孝特任助教、長谷耕二教授を中心とする研究グループは北海道大学と共同で、マウスの腸管に、微生物や抗原の体内への取り込みを調整する仕組みがあることを発見したと発表しました。

腸管は体の内側にありながら、口を通じて外界と通じているため、食物に混じってたくさんの異物や微生物が入り込んできます。また、大量の腸内細菌も存在し、腸内細菌叢を形成しています。そのため、腸管には多数の免疫担当細胞が集積し、体内に微生物が侵入してくるのを防いでいます。

外から腸管粘膜に入ってきた異物の一部は、腸管にある「パイエル板」という部分に取り込まれ、免疫が必要な異物については、ここで免疫応答が起こります。この外来異物の取り込みを担っているのが「M細胞」です。つまり、M細胞による外来異物の取り込みは、腸管の免疫応答活性化の鍵を握っていると考えられますが、M細胞は解析したくても数が少なすぎるため、その仕組みについては明らかにされていませんでした。

「OPG」が、M細胞の数を制御していることを発見

研究グループは今回、マウスの腸管からM細胞を分離して、濃縮する技術を独自に開発。これにより、解析するのに十分な量のM細胞を得ることができ、M細胞内でどのような遺伝子が働いているのかを、精度良く解析することに成功しました。その結果、「オステオプロテグリン(OPG)」というタンパク質が、M細胞が増えるのを抑えていることを発見しました。実際に、OPGタンパク質が作られないように遺伝子操作をしたマウス(OPG欠損マウス)では、M細胞数が顕著に増加しました。また、このマウスの腸管の免疫の様子を解析した結果、抗体を産生するB細胞の数が増加していました。さらに詳しく調べたところ、ここで作られた抗体が血液の中へと移行して体内を巡ることが、大腸炎の症状緩和に関係している可能性が示されました。

しかしその一方で、体内への異物取り込みを促進するM細胞の増加は、取り込まない方が望ましい「病原体の取り込みも促進」してしまうと考えられました。実際に、OPG欠損マウスでは、「サルモネラ菌」の感染が増加し、抵抗性が顕著に低下していました。

今回の研究成果により、OPGの働きでM細胞数が抑えられると感染リスクは低下しますが、大腸炎を抑える効果はなく、逆にOPGの働きが抑えられ、M細胞が増加すると大腸炎抑制効果がみられますが、サルモネラ菌などの感染リスクは高くなるとわかりました。つまり、OPGによるM細胞数の制御が「免疫の活性化と感染のバランスに重要」だということがわかったのです。今回発見されたメカニズムをもとに、新たにIBDの症状を抑える治療が誕生することを期待します。

(IBDプラス編集部)

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