IBD患者に対し、新型コロナ蔓延下にスマホアプリを用いた診療サポートを行う臨床研究を開始

ニュース2020/7/13

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成人UC患者さん対象、東京医科歯科大学と日立製作所が共同開発中のスマホアプリで検証

東京医科歯科大学は、同大附属病院に通院する20歳以上の潰瘍性大腸炎(UC)患者さんの中から希望者に、株式会社日立製作所と同大が共同開発を進めるスマートフォンアプリを使用してもらい、炎症性疾患(IBD)患者さんに対する電話診療での活用や、発熱時の新型コロナウイルス感染の可能性見極めなど、「ウィズコロナ」の環境下でのIBD患者さんへの診療サポートに関する臨床研究(観察研究)を開始すると発表しました。

IBDの治療にはステロイド内服や免疫調整薬などが多く使用されますが、これらの薬剤には感染に対する抵抗力を減弱させる作用もあります。したがって、新型コロナウイルスの蔓延下では、通常よりも感染に対して注意する必要があり、自宅待機を余儀なくされ、病院への通院が困難になる患者さんも存在します。ひとつの手段として電話診療がありますが、電話診療では時間が限られる中で患者さんの状態を詳細に把握することが難しく、また発熱時も、IBDの増悪によるものか、新型コロナウイルス感染なのかの見極めが患者さん本人では困難なことも課題となっています。

患者さんの入力データを専門医が確認し、IBDの病状悪化や新型コロナ感染の可能性を評価

今回の研究では、希望するUC患者さんにスマートフォンアプリを使用してもらい、通院が困難な環境下における日々の状態を、患者さん自身および医師が把握することで、診療の質の向上や、原病と異なる感染症の可能性の見極めなどへのスマートフォンアプリ使用の効果・有益性などについての評価を進めていくとしています。研究の概要は以下の通り。

・同院に通院する20歳以上のUC患者さんのうち希望者に対し、スマートフォンで使用する炎症性腸疾患アプリを提供

・患者さんは、自身が保有するスマートフォンを用いて毎日の体温や体調、服薬状況を入力。また、定期的な血液検査や便検査などの検査値も入力する

・患者さんが電話診療または対面診療を受ける際に、患者さんと同院のIBD専門医が入力データを共有しながら診療を行う

・週に1度、同院のIBD専門医が患者さんの入力データを確認。発熱患者、病状増悪患者については入力した症状や体温などの状態を確認し、原病の増悪や新型コロナウイルス感染の可能性を評価する

・研究期間は2020年6月22日~2021年3月31日を予定(変更の可能性あり)

ウィズコロナの環境下でニーズの高まる非対面診療の普及や、IBD患者さんが安心して暮らせる環境の実現目指す

東京医科歯科大学は、「この臨床研究では、ウィズコロナの環境下においてニーズの高まっている非対面診療の普及やIBD患者がより安心して暮らせる環境の実現に資することを目指している」と、述べています。

IBDの専門外来がある同大がこのような研究を行うことで、「IBD診療における非対面診療の有効性」の有無など、多くのことが明らかになるのではないでしょうか。新型コロナの流行で通院に支障が出ている患者さんたちに、朗報がもたらされることを期待したいと思います。

(IBDプラス編集部)

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