【IBD白書2018】潰瘍性大腸炎・クローン病患者さんの「はたらく」「まなぶ」 病気のこと、学校や職場に伝えていますか?

白書20182025/2/7 更新

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学校の友人や先生、職場の同僚や上司は、ときには身内以上に長い時間をともにする仲間です。とはいえ、病気のことをどこまで伝えたらいいのか、伝えたとしてもうまく対応してもらえるかどうか、不安に思ったことのある炎症性腸疾患(IBD)患者さんも多いのではないでしょうか。潰瘍性大腸炎の患者さん145人、クローン病の患者さん86人の計231人の声をまとめた「IBD白書2018」から、今回は、学校や職場における病気への理解や困ったり悩んだりしたことを紹介します。

Q.病気について、学校・職場に伝えていますか?

学校

病気について、学校・職場に伝えていますか?

まずは学校です。「担任・担当教員」に伝えているは全体で76.0%でした。一方、8.0%が「伝えていない」と回答しました。潰瘍性大腸炎では50.0%、クローン病では76.9%が「親しい友人」に伝えていました。

職場

病気について、学校・職場に伝えていますか?

続いて職場です。「人事担当者」に伝えているのは全体で42.9%、「同僚」に伝えているは53.4%でした。一方、14.3%が「伝えていない」と回答しました。潰瘍性大腸炎では、「人事担当者」に伝えているのは37.3%、「同僚」に伝えているのは51.0%でした。クローン病では「人事担当者」に伝えているのは52.5%、「同僚」に伝えているのは57.6%でした。

次項では、学校や職場で理解してほしい、支援してほしいと感じるときはどんなときか、フリーアンサーからご紹介いたします。

Q.学校・職場での理解/支援してほしいと感じるときは?

「学校や職場に対して、理解してほしい・支援してほしいと感じるのはどんなときですか」という設問には、以下の意見が寄せられました。

全般

  • お腹がぐるぐる鳴るので、なるべく距離を保ちたい。出入口付近に居させてもらいたい
  • だらけているように見えるが、姿勢を維持することもきついときがある
  • 子育ての方々の支援と持病を持ちながらも仕事をする人、障害がある人など、いろいろなハンデを抱えながらも仕事をしている人、全ての人に支援できる制度を作ってほしいです。社会がとても、冷たくそれによりストレスが出てきている気がします
  • 基本的に現時点では治らない病気と言うことを理解されていないとき。たまに「早く治さないと」という意味のことを言われるため
  • 昼食時間が短くなったりする。配慮してほしい

職場

  • トイレと残業について、もっと考慮して欲しい。結構ストレス感じます
  • 通院入院治療手術等、休む必要が有る事、身体への負担が少ない業務を与えてほしい事、環境負荷が大きいとその分悪化しやすい事を理解してもらいたい
  • 衣服を汚し、職場に戻ることができず、帰宅する場合があることを理解してほしい
  • お菓子を好意でいただくことが多いのですが、体調が悪い時はほとんど食べることが出来ないので、本当に気にせず食べ物関係は何もいりませんと思う時がある
  • すべてを受け入れて欲しいわけではない。ただ、そういう病気で、そういう症状が出るから仕事中でもトイレに行く回数や体力的に一息つくことが必要だということを理解してほしい
  • もちろん病気も理解して欲しいけど、普通にも接してほしいというジレンマがあるため、なかなか病気である事を伝えづらい。伝えても今まで通りに接してほしい。職場に関しては健康な人と同じことができないこともあるので、選択肢を沢山用意してほしいです
  • 飲み会や食事会の時に食べられないものがあることを理解してほしい
  • 心身の負担が大きく、体調が悪化してきた時に、業務の見直しを柔軟にして欲しいと感じる

学校

  • 学校に行きたくても治療の為入院が必要です。授業に出席出来ないからとても不安です。高校入試には内申点もとても重要ですので病気のために下がるのは悔しいです。志望校は変えずに頑張りたいです
  • お腹が痛いのが持続して保健室に行きたい時に何も言わずに行く許可を出してほしい

Q.同僚や学校の友人は病気について理解がありますか?

同僚や学校の友人は病気について理解がありますか?

続いて、「学校や職場では、病気についてどのくらい理解されていると思いますか?」という質問に、「十分に理解されており、必要な支援を受けている」と回答したのは26.9%でした。一方、「あまり理解されていない」「全く理解されていない」と25.3%が回答。潰瘍性大腸炎では22.8%、クローン病では33.3%が「十分に理解されており、必要な支援を受けている」と回答しました。

「理解されている」と感じたエピソード

  • 病名を告げた後、残業時間のチェックが多くなり、夜勤の配慮を検討して下さった。気遣いの言葉も度々いただけている
  • 傷病手当の事や自宅療養も充分にとっていいと言われた
  • 一緒に食事に行くときには気を使ってくれている
  • シャワートイレの増設を会社に要望したら実現した
  • 職場の飲み会などは、私に気を使って和食料理などにしてくれることが多いです。(または無理して出席しなくていいと言ってもらえる)
  • トイレ休憩を多めにもらえました
  • 途中下車で遅刻を頻繁にするが、事情を知っているので一切咎められない。逆に申し訳なくなる
  • 学校ではトイレに行きやすいドア近くの席にしてもらった。テストは保健室で受験してトイレに行けるようにしてもらった

「理解されていない」と感じたエピソード

  • 飲酒ができないにも関わらず、社長から強要された
  • トイレの回数が多いので「さぼっている」ように思われている
  • 健康診断の精密検査で診断され、かなり状態が悪く残業禁止の診断書を産業医を通じて提出した。しかし、受け入れられず繁忙期は夜10時まで残業させられ、急激に悪化しそのまま退職せざるを得なかった
  • 具合が悪いとは理解してくれているが、体調に波があることなど、健康な人ほどわからないと思う。職場でも業務量などの配慮はなくなっている
  • 現在休職中ですが、当時休職が認められなかった。大きい病院で。しかし当初の治療費がかなり高額だったためそんなお金の余裕もなくセカンドオピニオンを受けちゃんとした診断書を持ってくるまでは認めないとまで追い込まれました。とてもショックをうけました。また産業医にも潰瘍性大腸炎なんて大したことないとあしらわれました
  • 会社員ではないので有給や休業補償がなく、仕事が減るのが怖いため、病気のことは話していない
  • 病気について一般の人は知識が殆どないのでこちらが説明しても全部は理解されないし、伝える方も難しい
  • 授業を欠席しなくてはならないほど体調が悪かったり、検査のため欠席した時に、先生が考慮してくれなかった
  • 変に気を使われ重要な仕事からはずされたり異動を命じられた

Q.就職・転職の「困った」「悩んだ」エピソードは?

就職・転職の際に困ったことや悩んだことについては、以下の意見が寄せられました。

退職・リストラの不安

  • 転職するかどうか迷っているところです。いま、在宅勤務をしているので、大体好きなタイミングでお手洗いに行くことができ、その点は助かっています。ただし、管理職のため責任が重く、シフト制で度々夜勤もあり体調を崩しがちなので、病状が悪化しないか不安ではあります
  • 生活のリズムを崩したくないが、タイトなスケジュールで進める仕事なので、体調を優先させて依頼を断ることで仕事がなくなるのではないかと不安に思っている
  • いつ体調が悪くなるかわからないので、単発や短時間の仕事しか就けないこと
  • 役職があがり責任が伴ってくると、仕事の負担も大きく、残業も増え、休暇も取得しにくくなってきている

病気を伝えるべきかどうか

  • 昔は、病気の事を隠して就職試験を受けたりしていた。また、実際に就職先での健康診断で持病があるか伝えたほうがいいのか悩んだことがある
  • 病気があることで、採用時に不利になることがあるのではないかという不安は常に付きまとう
  • 現在芸能関係の仕事をしており、所属事務所に病気のことを隠している。伝えたら仕事がもらえなくなるのではないかと悩んでいる
  • 病気や障害をつたえることで、就職に不利になりやすいと思います。また、就職できたとしても、自分からも積極的にその話をするか悩みます。プライベートなことでもあるので。知っていてもらえると楽になるかもしれないけれど、知ってもらうことで相手の負担になりたくはないと思うし、ごくごく自然な人間関係を作りたいと思っているので…。でも、そう思うことで無理してしまい、結局ストレスや疲労で病状が悪くなることもあります

症状悪化の不安

  • おならと、漏れが不安で就職できそうにないと思っている。通勤だけでも、以前は大変だった
  • 営業職や対人を必要とする職は難しい。トイレが少ない・汚い職場も厳しい
  • 接客業のため、勤務中の忙しいときにトイレに行きにくい。バイトの今でも急な体調不良で迷惑をかけているのに、これから正社員になって働くことが出来るのか不安

理解されない

  • 薬が沢山あるので 人前で飲めず、具合が悪くなった事が何度もある
  • 障害者求人に応募したくて精神障害者手帳を作ったけど、難病で心も病んでる人間はどこも面接すらしてもらえない
  • 前の職場があまりに酷かったので働く気になれない。どうせ誰も理解しないんだと諦めている

まずは「伝える」ことから始めてみては

今回の調査で、学生の患者さんの約12人に1人、働く患者さんの約7人に1人が「職場や学校に病気のことを伝えていない」ことが分かりました。「病気のことを理解されない」「逆に配慮され過ぎた場合、やりたい仕事ができない」などの不安を挙げる患者さんも見られました。とはいえ、誰にも伝えず、1人で我慢するのはストレスが溜まります。ストレスが症状悪化の要因の1つとも言われるIBDだからこそ、まずは「伝える」ことから始めてみてはいかがでしょうか。

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