炎症性腸疾患とその治療が患者さんの妊娠・出産に影響は?【特集:JSIBD2018】

ニュース2018/12/18

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妊娠経過や出産状況、産後の子どもの成長過程などを調査

炎症性腸疾患(IBD)患者さんの多くは若年で、女性の場合は妊娠可能な年齢であり、男性も子を授かることを希望する患者さんも多くいます。一方、疾患活動性や手術歴、治療内容など、さまざまな要因が妊娠の結果に影響を与える可能性があります。

そこで、インフュージョンクリニックの有光晶子先生は、炎症性腸疾患が妊娠や出産に与える影響に関する研究を実施。その結果を第9回日本炎症性腸疾患学会学術集会のポスターセッションで発表しました。

今回の研究では、2010年4月以降に同院通院中の炎症性腸疾患患者さんのうち、発症後に患者さんあるいはパートナーが妊娠出産を経験された方を対象として、妊娠経過、出産状況、産後の子どもの成長過程などについてアンケート調査を実施。炎症性腸疾患の症状や治療内容と照らし合わせながら、妊娠、出産の安全性について検討したそうです。

妊娠・出産や子の成長における異常、健常者と差はなし

調査には、発症後妊娠歴のある炎症性腸疾患女性患者さん38人が回答。患者さんの内訳は、潰瘍性大腸炎(UC)17人、クローン病(CD)21人、腹部手術歴あり10人、肛門手術歴あり6人、ストマ状態2人でした。内科的治療内容は、生物学的製剤35%、ステロイド16%、免疫調節薬併用1.5%(1件)でした。

総妊娠数は68件で、CD患者さん34件(1.6/人)、UC患者さん34件(2.0/人)、妊娠中寛解であった妊婦は68%、出産年齢(中央値)は32歳でした。正期産は88%で、早産0%、流産は9%と一般女性の自然流産率(10~15%)を上回る結果ではありませんでした。死産は2件(3%)でした。流産・死産は、妊娠中寛解であった妊婦の10%、非寛解の妊婦の22%にみられ、非寛解妊婦で高率でした。帝王切開(以下帝切)による分娩は27%にみられ、一般女性の帝切の割合(約20%)を少し上回りました。帝切が選択された理由がIBDであったのは3件(CD1,膣瘻2)でした。また、子どもの状態については、低出生体重児は5%で一般(8~10%)を上回りませんでした、先天性心奇形は2児でした。生後10~12か月で-2SDを下回る低体重児は3児でした。

※SDスコア:子どもの身長や体重が同じ年齢の子どもと比べて、どれくらい高いか・低いか、重いか・軽いかを、平均値からSD(標準偏差)の何倍離れているかをあらわす方法。-2SD以下を低身長や低体重と定義しています。

男性患者さんについては、発症後にパートナーが妊娠を経験した男性IBD患者さん48人から回答を得ました。患者さんの内訳は、UCが15人、CDが33人、腹部手術歴あり21件、肛門手術歴あり33件、ストマ状態5件で、妊娠時の治療内容は、生物学的製剤36件(51%)、ステロイド11件(16%)、免疫調整薬10件(14%)、サラゾスルファピリジン7件(10%)でした。

パートナーの総妊娠数は71件(1.47/人)、妊娠時に寛解であったのは63%、非寛解は37%でした。正常出産は70件、死産1件。子どもの状態については、低出生体重児5.6%、先天性心疾患は1児、生後10~12か月で-2SDを下回る低体重児は0でした。

今回の研究で明らかになった異常の数値は、健常者を大きく上回るものではなく、女性患者さん、男性患者さんともに炎症性腸疾患の治療を継続しながら妊娠・出産がほぼ安全に達成できると考えられます。有光先生は「今回この調査で、多くの患者様が診断後『病気を持ちながら、治療を続けながら、子を持つことは可能なのか』を不安に思いながら聞けず悩んだ経験をお持ちであったことがわかりました。悩まず、まずは主治医に聞いてください。きっと安心できますよ。妊娠後はIBD主治医と産科主治医がきっちりと連携をとり、見守っていくことになります。心配ないですよ」とコメントしています。

(IBDプラス編集部)

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