潰瘍性大腸炎患者さんとクローン病患者さんで色の好みが違う?【特集:JSIBD2018】

ニュース2018/12/21 更新

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炎症性腸疾患患者さんの心理的特性をカラーボトルとエゴグラムで検討

潰瘍性大腸炎患者さんとクローン病患者さんでは、色の好みに差があるという興味深い研究結果が、第9回日本炎症性腸疾患学会学術集会のポスターセッションで発表されました。

この研究は、インフュージョンクリニックの心理カウンセラーである森本愛先生らが行ったもの。同院では、色を用いた心理カウンセリングを2013年に導入。炎症性腸疾患(IBD)患者さんにカウンセリングを体験してもらったところ、潰瘍性大腸炎患者さんとクローン病患者さんとの間で、色の好みに差が観察されたそうです。

色彩選択の差は、意識的自己認知より深い無意識的自己認知の差も表現されることから、今回の研究では、倫理委員会の承認ならびに対象者の同意を得て、ストレス場面における炎症性腸疾患患者さんと健常者の色彩選択の差をカラーボトル※1で検証。また、意識的性格特性の差を東大式エゴグラム※2TEG(R)IIを用いて検証。その結果から炎症性腸疾患患者さんの性格特性と行動特性を分析し、より良いケアの可能性を検証したそうです。

※1カラーボトル:心理カウンセリングの手法のひとつ。着色したオイルを含んだ多数のボトルを選んでもらうことで、対象者の心理状態を知ることができるといわれています。
※2エゴグラム:性格診断法のひとつ。東大式エゴグラムTEG(R)IIはその名の通り東大が開発したエゴグラムで、健康保険の適応が可能な心理テストです。認知機能心理検査に分類されます。

クローン病患者さんは冷静さや内向性を表す「寒色」を好む傾向

今回、研究対象となったのは、健常者82名、潰瘍性大腸炎患者さん70名、クローン病患者さん71名。検討の結果、色彩選択では、クローン病患者さんは潰瘍性大腸炎患者さんと健常者よりも冷静さや内向性を表す「寒色」を好み、暖色を好まない傾向がみられました。ストレス場面を想起した色の選択理由では、炎症性腸疾患患者さんは、健常者よりも心が落ち着く色を求めることがわかったそうです。

また、エゴグラムではCP(厳しい父親)、NP(優しい母親)、A(冷静な大人)、FC(自由な子ども)、AC(従順な子ども)の5つの自我状態を分析したところ、炎症性腸疾患患者さん全体ではFCが健常者よりも優位に低く、潰瘍性大腸炎患者さんはCP・NP・FCが健常者より低い傾向がみられたとのことです。FCが低い人は、ストレスを溜め込みやすいという特徴があり、CP・NP・FCが低いと従順・協調性がある・主体性がないといった特徴があるといわれています。

これらの結果から炎症性腸疾患患者さんは、健常者に比べて「気分転換」や「感情表出」が苦手で、ストレス場面では、ぬくもりやあたたかさよりも「安心」や「落ち着き」を求める傾向が認められました。森本先生は「炎症性腸疾患患者さんが不安や心配を表現できずにいないかなど、メディカルスタッフはより細やかな意識を向けることが求められます。とくにクローン病患者さんに対しては、言いにくいことも表現しやすいように、アンケート形式のコミュニケーションを取り入れるなどの工夫が求められるでしょう」としています。

(IBDプラス編集部)

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